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長期休暇こそキャリアプランの考え時?検討時のポイントも解説

お盆やお正月などの長期休暇中は、日々の慌ただしさから解放されることや、親族や友人などに久しぶりに会うことをきっかけに、自らのキャリアを見直す人が増えるといわれています。「キャリアを見直す」というと、つい転職を連想しがちですが、闇雲に転職に走ると思わぬつまずきがあることも。冷静にキャリアを見直し、自分らしいキャリアを見つけるために必要なポイントを、キャリアアドバイザーの藤井さんに伺いました。

投稿日:2024年8月9日

目次

長期休暇はキャリアを検討する人が増える?

自身の仕事のキャリアについて考えるきっかけは人それぞれですが、藤井さんによるとゴールデンウイークや夏、年末年始など比較的長期休暇がとりやすい時期はキャリア相談の予約が多いそうです。

藤井さん
「私の経験上、長期休暇の初日にキャリア相談のご予約をいただくことが多いですね。休暇が始まったタイミングで専門家への相談と自己分析を行い、残りの期間をご自身でキャリアを検討する時間に充てているのだと思います。ご自身のキャリアを考えている方々は、長期休暇を絶好の検討機会と捉えているのでしょう」

また、時間に余裕があることだけでなく、長期休暇中には里帰りなどで親族や学生時代の友人と話す機会も増えます。そのときに聞いた話や、自分の仕事について話したときの周囲の反応なども、自分のキャリアを考え直すきっかけになるそうです。   
   
藤井さん
「20代や30代の若い世代の方は男女問わず、仕事のキャリアを考える際に、結婚や出産といったライフイベントもセットで考えることが多くなります。帰省した際に、家庭を持った親族や友人の姿を見て、ライフイベントを含めた自分のキャリアを見つめ直すきっかけになったという人も少なくないでしょう」

キャリアに不安を感じても、いきなり転職に踏み切るのは要注意!

キャリアを見直すことは大切ですが、その際、自分のキャリアに焦りや不安を感じたとしても、いきなり転職に踏み切ることには注意が必要だと、藤井さんは警鐘を鳴らします。その理由を教えていただきました。

自分のキャリアが整理されていない

藤井さん
「長期休暇で得た刺激を、ご自身のキャリアプランを見直すきっかけにすること自体は賛成です。しかし、転職に踏み出す前に、まずはこれまでのキャリアを整理しておくことが大切です。整理ができていないまま転職活動を始めると、ご自身が『将来やりたいこと』ではなく『今できること』を基準に、場当たり的に次のキャリアを考えてしまいがちです。

さらに、自分が本当は何をしたいのか考えられずに転職をした結果、以前とほぼ変わらない環境のもとで働くことになった人を何人も見てきました。仮に今の職場に不満があれば、転職後の職場でも再び同じような不満を抱いてしまいかねません」

本当に転職が必要なのかどうかが見えていない

藤井さん
「単に『今の仕事と違うことをやりたい』という希望であれば、転職は必須ではありません。部署異動だけでかなえられる場合もあるでしょう。一方で、『昇進を希望しているけれど、年功序列で順番を待たなければいけない』、『専門性を高めたいものの、今の会社では難しい』といった場合は、転職という選択が必要かもしれません。

キャリアの見直し=転職と決めつけるのではなく、ご自身のキャリア形成において本当に転職が必要なのかどうか判断をすることも大切なポイントです」

キャリアプランを検討する際に重視したいこととは?

藤井さん
「キャリアプランを検討する際、最も重要なのはどうキャリアアップするかです。しかし、何をもってキャリアアップとするのかは、人によって異なります。昇進する、専門性を高める、働き方を変える、キャリアチェンジをする…ご自身にとってのキャリアアップがどれに該当するのかを明確にしておきましょう」

リラックスした状態でキャリアプランを検討できているか

藤井さん
「キャリア相談をしていると、本当はさまざまな可能性があるはずなのに、『私はこれしかできない』『こうでなければならない』といった考え方にとらわれている方がとても多いように感じます。

しかし、キャリアプランを検討する時に必要なのは、自分が本当にやりたいこと・なりたい姿を見つける“発見力”です。リラックスした状態だと思考が解放され、発見力も高まるといわれているので、長期休暇にキャリアを検討する人が多いのは、この影響があるのかもしれません」

自分のスキルを把握できているか

藤井さん
「社会人には、3つのスキルが必要といわれています。 “テクニカルスキル(技術力)”、“コンセプチュアルスキル(課題発見力)”、“ヒューマンスキル(周囲を巻き込む人間力)”です。アメリカの経営学者ロバート・L・カッツ氏が提唱したもので、キャリア形成や組織マネジメントにおいて近年重要視されています。

特に注目していただきたいのが“ヒューマンスキル”です。個人が高い技術力と課題解決力を持つだけでなく、いかに周囲と協力して課題を解決しているかを、昨今の企業は重視するようになっています。

“ヒューマンスキル”はどんな職業や立場でも常に重要な力。転職してキャリアアップする場合も、今の職場で新しいキャリアを探る場合も、周囲と協力して仕事をする力が身についているかどうか、長期休暇の間に振り返ってみるのも一考です」

また自分のスキルを振り返る際には、意外な情報が参考になるそうです。

藤井さん
「企業が掲載している“求人情報”です。転職する・しない関わらず、自分が“気になる”求人情報を5つほどピックアップしてみましょう。本当にできるかはいったん脇に置いた状態で選んで構いません。自社の求人が含まれていてもOKです。次に、求人情報に書かれた条件と現在の自分を比較してみてください。足りないと感じるものがあれば、そのスキルを身につけることがキャリアアップにつながると考えられます」

▼キャリアプランの考え方についてのお役立ちコラム
約500人に聞いた!理想の働き方やキャリアアップの取り組みとは 
キャリアプランの立て方が分からない。キャリアコンサルタントが教えるヒント

キャリアプランを検討・設計するならジョブ・カードが便利!

以上を踏まえたうえでキャリアプランを検討する際にはぜひ、ジョブ・カードを活用してみてください。どのように使うとよいのか、具体的にご紹介します。
またジョブ・カード作成する際に役立つアイディアを藤井さんに教えていただきました。

便利な理由①:キャリアの棚卸しをしやすい

ジョブ・カードには、職務経歴シート(様式2)や職業能力証明シート(様式3-1、様式3-2)があります。これらを記入することで、今までの職歴やこれまでに取得した免許・資格、学習してきたことを可視化して振り返ることができ、キャリアの棚卸しがしやすくなるのです。

《職務経歴シート(様式2)、職業能力証明シート(様式3-1、様式3-2)の作成はこちら》
様式2 職務経歴シート
様式3-1職業能力証明(免許・資格)シート
様式3-2職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート

便利な理由②:なりたい姿を明確化しやすい

ジョブ・カードのキャリア・プラン作成補助シートを活用すると、価値観や興味関心、強み、弱みなどに関する質問に答えていく形式なので、おのずと自分がやりがいを感じていることや、苦手なことが見え、今後どのようなキャリアを築いていきたいかが見えやすくなります。

《キャリア・プラン作成補助シートの作成はこちら》
キャリア・プラン作成補助シート(在職者用)

▼自分に近いジョブ・カードの記入例を分析すると、強みやなりたい姿を明確化するヒントに

藤井さん
「マイジョブ・カードにはジョブ・カードの記入例が豊富に掲載されています。ご自身に近い年代や職種など近い記入例をチェックして、なぜその内容にしたのか分析してみるのもよいでしょう。ご自身の強みや、築いていきたいキャリアなどのビジョンがより明確にできるかもしれません。ただ、記入例を参考にし過ぎると、表現や考え方などが型にはまってしまうことがあるので、注意してください」

便利な理由③:ビジョンに近づくために必要なことや優先順位を整理しやすい

キャリア・プランシート(様式1-1)を作成すると、今後自分にとって必要なことや、何を優先して取り組むべきかを整理しやすくなります。すでにキャリア・プラン作成補助シートを作成している人は、転記機能で記入した内容をキャリア・プランシート(様式1-1)へ反映することも可能です。

《キャリア・プランシート(様式1-1)の作成はこちら》
様式1-1キャリア・プランシート(就業経験がある方用)

まとめ

自分らしいキャリアプランを検討することは、仕事をするうえでのモチベーションの維持にも関わる重要なことです。長期休暇の時間を活用して、ご自身の今後のキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、転職のタイミングは人それぞれ。周囲の雰囲気に流されることなく、これまでのキャリアを整理して、ご自身の望むキャリアアップのビジョンを明確にしていきましょう。

そして、キャリアプラン検討の際にはぜひジョブ・カードを活用し、自己分析やキャリアの棚卸しなど、多方面に役立ててください。  

 

【出演いただいたキャリアアドバイザーのプロフィール】

藤井 佐和子 様
キャリアアドバイザー。ダイバーシティコンサルタント。JCDA認定 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)。ARM公認 EQトレーナー 。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部にて3年半従事、その後、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)で創業期の1994年から8年間派遣事業部と紹介事業部の立ち上げに携わる。2002年に株式会社キャリエーラを立ち上げ、独立。延べ17,000人以上にキャリアカウンセリングをした実績をもつほか、企業研修や講演、Webメディアでのキャリアデザインに関する動画配信も行う。

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