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【若手社員のキャリア座談会】プロがキャリアへの悩みをアドバイス!

新卒で入社してから数年経つと、仕事にも慣れ、「今の仕事が合っているのか」や「今後の働き方についてどう考えればよいかわからない」など、キャリアに対する悩みが芽生え始めたという方もいるのではないでしょうか? 今回は、キャリアコンサルタントの百済さんと、入社4~6年目の若手社員3名にお集まりいただき、キャリアに関する座談会を開催。業界も業種も異なる3名それぞれが感じているキャリア観や悩みについて、率直に話し合ってもらいました。

投稿日:2024年12月6日

目次

業界も業種も異なる3人…若手社員は今のキャリアをどう捉えている?

まずは今回集まっていただいた参加者3名のプロフィールをご紹介します。

 Kさん 
2019年4月入社(勤続5年7か月目※)
賃貸物件の仲介を行う会社に勤務。店長に次ぐ店舗の責任者として賃貸希望者や入居者からの問い合わせ対応などの業務に携わっている。

 Tさん 
2019年4月入社(勤続5年7か月目※)
マーケティング・リサーチを手掛ける会社に勤務。提案から分析、アフターフォローまでを一貫して担当。上司である部長が産休に入ったため、部長代理として管理業務も担っている。

 Sさん 
2021年4月入社(勤続3年7か月目※)
道路インフラを整備する会社に勤務。現在は、施工している道路やトンネルなどが建築基準に見合っているかどうかを確認する発注者支援業務に従事している。

※いずれも2024年10月時点

3名の皆さまには、それぞれ入社時に描いていたキャリア観を振り返るところから始めていただきました。

学生時代と社会人になってから、キャリア観に変化はあった?

 Kさん 
「入社して丸5年以上たちますが、仕事に対する考え方が入社前と比べて変わった感覚はないです。入社前、内定者としてアルバイトをしていた時に教育担当としてついてくださった社員の方が、今の私のような業務を担当されていて、その頃から同じようなポジションにいくことを目標にしていました。まずはその目標を達成できたので、今のところ、入社時に描いていたキャリアプラン通りに進んでいるという感覚です」

 Sさん 
「僕も入社前とのギャップは特に感じていません。僕のいる会社では、1年目の社員はまず設計に携わり、2年目以降、各現場に配属されてキャリアを形成する流れであることを、面接の時に社長から聞いていました。その通りのキャリアを今歩んでいる状況です」

 Tさん 
「私も皆さんと同じく、大きな変化は感じていません。大学の頃からマーケティングの仕事に興味があって今の会社に入社を決め、配属されているのもマーケティング担当の部署なので、思い描いていたキャリアは実現できているかなと思います。ただ、キャリア観というか、仕事そのものに対する考え方は少し変わったかもしれません。学生の頃は、ライフプランにおける仕事の順位が、結婚や出産よりも低かったと思います。でも今は、働くことの楽しさを実感し、仕事の優先度がグッと上がりました。そこは学生時代と比べて変わった点といえます」

座談会から見えた若手社員が抱える悩みとは

続いて、3名の方が現在抱えているキャリアの悩みについてお話を伺いました。

若手社員が抱える、仕事の理想と現実のギャップ

 Sさん 
「今の会社の仕事自体は興味深く、給与面や待遇にも大きな不満はありません。ただ最近は、このままキャリアを積んでいくべきかどうか悩んでいます。トンネルや道路の整備は、僕にとっては規模が大きすぎて、日々のやりがいを感じるのが少し難しいからです。もしかしたら僕は、お客さまの笑顔や反応を常に直接目の当たりにできるBtoCの職種のほうが、仕事の達成感を得やすいのではないかと思い始めています」

 Tさん 
「私の場合は、会社にロールモデルとなる人がいないのが悩みです。ベンチャー企業ゆえ年齢が低く、かつ上司も産休に入っているため、参考にできる人があまりいません。キャリアアップも、部長昇進までは具体的に見えているのですが、その先にどういう役職があるのか、給与体系はどうなっているのかが見えておらず、今後のキャリア形成への不安もあります」

 Kさん 
「私は、今の会社で昇進を目指したい気持ちはあるものの、昇進後の業務内容と業務量を自分がこなせるかどうかに不安を感じています。キャリアアップの声掛けはあるのですが、昇進すると、法人相手の営業が増えるなど、事務メインの今とは違う業務が入ってきます。全体的に業務量が増えるなかで、新しい仕事にもチャレンジできるのか自信がありません」

 Tさん 
「業務量の増加は私も不安です。さまざまなことにチャレンジできて経験が積めることがベンチャーの良さだと思っていたのですが、管理職になると現場の業務と管理業務の両方をこなさなければならず、業務量に負担を感じるようになってきました」

 Sさん 
「僕は今のところ業務量への不安はないのですが、上司を見ていると、そのうち皆さんと同じような気持ちになるのだろうなぁと思っています。僕はプライベートも充実させたいので、将来的にはワークライフバランスに悩みそうな気がしています」
 

悩める若手社員が押さえておきたいキャリアプランの考え方

3名の座談会参加者の悩みを聞き、キャリアコンサルタントの方はどう思われたのでしょうか。若手社員のキャリア相談にのる機会も多い、キャリアコンサルタントの百済清貴さんに伺いました。

業務範囲が広がることへの不安は、スキルの洗い出しをして対策を考えよう

百済さん
「皆さんが抱えているお悩みは、普段若い方からいただくご相談とも共通しています。
例えばKさんのように、昇進は考えているけれど、それに伴い業務の幅が広がることに不安を感じている人。特に、新しく加わる業務が自分の苦手な分野だと、さらに不安が募りますよね。その場合、まずは自分の得意な業務を極めていくのか、業務量や幅の拡大を理解した上でポジションチェンジを受け入れるのかを模索されると良いでしょう。そのためにはスキルの洗い出しをして、「今自分が持っているスキル」と「今後身につけていったほうがよいスキル」を明確にしておくことをおすすめします。

Tさんのように、ベンチャーに勤務されていてロールモデルがいないとお悩みの方も、実は多いです。この場合、少しハードルが高いかもしれませんが、ご自身がモデルケースになるんだというぐらいの気概で続けていかれるのも一つの方法かなと思います。会社の制度がどんどん整い、変わっていく姿を見られるのもベンチャーの醍醐味といえます。まずは上役の方と面談をしてお話しされた上で、変化を味わうのか、転職して場所を変えるのかを考えても良いと思います」

自分の価値観を把握し、キャリアを考えることも大切

百済さん
「Sさんのように、自分の価値観とお仕事との距離感に悩まれている方も、これまた多いです。Sさんがおっしゃっていたお客さんからの反応や感謝の受け取り方は、実は仕事をする上でかなり重要なポイントといえます。大きな感謝を年に1回もらえるだけで仕事のモチベーションが上がる人もいれば、小さな感謝を頻繁にもらえるほうが良い人もいます。Sさんのお仕事は、大きな感謝をされることはあるものの、頻度はおそらく数年に一度ほどでしょう。BtoCのお仕事をされたいということから推測すると、もしかしたらSさんは小さな感謝を頻繁にもらってモチベーションにしたいタイプなのかもしれません。

今後のキャリアを考える際に一度、ご自身が大切にされていること、優先したいことなどの価値観を明確にしてみるのも良いでしょう」

「自分と向き合い、今後のキャリアを考えたい」座談会参加者の感想

百済さんのアドバイスを聞いて、座談会参加者はどう感じたのでしょうか。それぞれに伺いました。

 Kさん 
「不安を感じているものの、今後のキャリアを考えると役職に就くことは避けて通れないと思っています。傍で見ているのと、実際にやってみるのとは印象が違う可能性もあるので、店長になった方に話を聞くなど情報も集めつつ、今後のキャリアを考えていきたいと思いました」

 Tさん 
「自分自身がモデルケースになるというアドバイスを受けて、たしかにそういう道もあるなと気付きました。私から上司に声をかけて話し合いの場を持ち、自ら会社の制度をつくっていこうと思います」

 Sさん 
「小さな感謝をたくさんもらうことがモチベーションになるというたとえにハッとしました。今の仕事は、感謝される機会がたしかに少なく、むしろ施工中は工事の騒音などへの苦情のほうが多く聞こえてくることもあります。具体的に転職を考えるかどうかは別にして、自分の価値観を明確にしておくのはとても大切なことだと気付けました」

キャリアプランを整理・検討するならジョブ・カードが便利!

百済さんのアドバイスにあったスキルの洗い出しや価値観の確認などには、ジョブ・カードが役立ちます。使い方の例をご紹介しましょう。

キャリアの棚卸しやスキルの洗い出しがしやすい

ジョブ・カードの職務経歴シート(様式2)や職業能力証明シート(様式 3ー1、様式 3ー2)を作成すると、経歴や職業能力の棚卸しができ、経験した職務から学んだことや獲得したスキルの「見える化」につながります。Kさんのように、今後のキャリアアップに不安を抱えている方は、これらのシートを使って、これまで身に着けたスキルや仕事を通じて得られた経験を整理してみましょう。その結果、自分の得意分野や成果などが明らかになり、今後のキャリアを考える上での参考になるでしょう。

様式2職務経歴シートの記入画面

 

様式3-1職業能力証明シート(免許・資格)、様式3-2職業能力証明シート(学習歴・訓練歴)の記入画面

《職務経歴シート(様式2)、職業能力証明シート(様式 3ー1、様式 3ー2)の作成はこちら》
▶ 様式2 職務経歴シート
▶ 様式3-1職業能力証明(免許・資格)シート
▶ 様式3-2職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート

価値観診断や興味診断も自分に合ったキャリアプランを描く参考に

設問に対する自分の気持ちに近い選択肢を選ぶことで、仕事を選ぶ上で大事にしたいことが見える「価値観診断」や、興味・関心の程度を回答することで適職傾向を提示してくれる「興味診断」なども、キャリアプランを描く際の参考として活用できます。Sさんのように、仕事をする上で重要視すること(大事にしたい価値観)を明確にしたい方等には特に活用をおすすめします。
価値観診断、興味診断の記入画面

《「興味診断」や「価値観診断」などの自己診断一覧はこちら》
自己診断でチェックする

目指したいキャリアに向けて必要なことや優先順位が整理しやすい

職務経歴シート(様式2)や職業能力証明シート(様式3ー1、様式3ー2)を作成したり、診断を活用したりして得た情報をもとにキャリア・プランシート(様式1ー1)を作成すると、キャリアへの具体的なイメージが持てるようになり、今後自分にとって必要なことや、優先して取り組むべきことが見えるようになります。
例えばTさんのように日々さまざまな業務に携わっている方は、業務内容が多様過ぎるあまり、目指すべきキャリアがわからなくなることもあるでしょう。そんな時、キャリア・プランシート(様式1ー1)を作成して、イメージを明確にできるとよいですね。
自由記述に苦手意識がある場合などは、選択式のキャリア・プラン作成補助シートを先に作成するのがおすすめです。内容をキャリア・プランシート(様式1ー1)に転記することでスムーズな作成が可能です。

様式1-1キャリア・プランシート(職業経験がある方用)の記入画面

《キャリア・プランシート(様式1-1)、キャリア・プラン作成補助シートの作成はこちら》
▶ 様式1-1キャリア・プランシート(就業経験がある方用)
▶ キャリア・プラン作成補助シート(在職者用)

まとめ

ジョブ・カードは、学生から社会人まで幅広い人が利用できる様式になっており、在職者がキャリアを検討する際の情報整理や、客観的な視点の形成にも役立てることができます。

百済さん
「30代手前の『若手』といわれる年代で自らキャリアについて問いかけ、考える機会をつくることは大切です。なぜなら人は、問われなければ考えることをしない生き物だからです。キャリア相談をしていると、『聞かれて初めて気付いた』とおっしゃる方をよくお見掛けします。ですから、早い段階で自ら問いかけることが重要なのです。その際に自分の理想とする姿や価値観と今のキャリアに相違があれば、軌道修正をしますが、それも早いに越したことはありません。
ジョブ・カードは、キャリアについて考える際に役立つツールといえます。年に数回、ジョブ・カードを更新するタイミングをつくり、定期的にキャリアについて考える機会を持つのもおすすめです。定期的にキャリアを振り返ることは、若手に限らず、どの年代の方にも有効です。実は私自身も年に一度はジョブ・カードを更新して、自分のキャリアについて考えています。
ご自身の成長の実感やスキルの整理、価値観の確認など、今後のキャリア形成にもジョブ・カードを活用してみてください」

 

【出演いただいたキャリアコンサルタントのプロフィール】

百済 清貴 様
国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、奈良県の公立高校にて教員生活をスタート。その後、大阪の私立にて15年間教員として務める。その後、39歳で食品商社の人事職に転職。4年間の勤務の中で、取締役を含め、メンバークラス、管理職クラスの延べ800人と面談を実施するとともに、キャリア転職の採用業務にも従事。一方でプロコーチとしても活動し、これまで関わってきた人の数は延べ9000人以上。集合研修から1対1のコーチングやキャリアサポートまで高い評価を得ている。

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ジョブ・カードを作成しよう!

ジョブ・カードを作成することで、自分の強み・弱みや能力に気付くことができ、これまでの経験を踏まえた将来のキャリア・プランとそれに向かってやるべきことが描けるようになります。また、作成したジョブ・カードは就職活動や転職活動でも活用することができるようになります。
マイジョブ・カードのアカウント登録をすると、作成したジョブ・カードを保存し、いつでも修正することができます。
アカウント登録をして定期的にジョブ・カードの見直しや確認を行いましょう。

※アカウント登録後・ログインせずにジョブ・カードを作成した場合、保存するにはダウンロードしたうえ、アカウント登録・ログインしてアップロードする必要があります。

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