ガクチカの書き方をプロが伝授!例文を参考にするときのコツなども解説
就職活動の中で聞かれることの多い「学生生活で力を入れたこと」(通称:ガクチカ)。就活を控えた学生の中には、自分のマイナス面ばかりに目が行ってしまったり、経験や成績が企業にアピールできるようなものではなかったりするため、ガクチカに書けることが思いつかない…という方もいるでしょう。今回はキャリアコンサルタントの深澤さんに、ガクチカを書くポイントについて伺いました。
投稿日:2024年7月5日
目次
ガクチカの書き方がわからない…なぜ悩む就活生は多い?
ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」の略。就職活動の選考過程で、志望動機や自己PRと並んで問われる頻度が高い質問であることから、このような造語が生まれています。
ガクチカと聞くと、華々しい経験やエピソードを書かなければいけないという先入観を抱きがち。それゆえ学生の多くは、「自分にはガクチカがない」と考えてしまうようです。
深澤さん
「大学で講義をしたり、就職相談にのったりしていると、『ガクチカがない』と悩む学生たちにたくさん出会います。ガクチカと聞くと、やはり華々しいエピソードを期待されていると感じることが影響しているようです。
多くの学生は、『普通に』大学に通い、『普通に』学校とアルバイトを往復する生活をしています。そんななか、急に『力を入れたこと』を考えなければならないと、答えに窮してしまいますよね。コロナ禍はやはり顕著でした。今も若干影響はあるようですが、コロナに関わらず、そもそもガクチカは学生にとって書きづらく、答えづらい項目の代表格といえます」
ガクチカを聞く企業の意図とは?
採用する側の企業は、なぜガクチカについて質問するのでしょうか。その理由を、採用する企業の立場として就職の面接に参加することもある深澤さんは、以下のように分析します。
学歴や資格だけではわからない学生の価値観や性格を知るため
深澤さん
「ガクチカのエピソードを通して、企業が知りたいと思っているのはズバリ、学生の考え方や人柄です。『行動特性』や『思考特性』、『価値観』と言い換えてもよいでしょう。派手なエピソードが聞きたいわけではなく、どういう考え方や行動をとる人なのか、を知るための質問の一つとして、ガクチカがあります。
例えば、『課題に取り組んだ』ことをガクチカとして挙げたとしましょう。
基本的に課題や試験は、学期末に集中します。やるべきことが集中したときに、何を重視してどういう順番で進めるのかは一人一人違うはずです。とりあえず負荷の軽いものから手をつけようとする人、取得単位数の多いものを優先する人、締切とタスクを可視化しマネジメントする人など、さまざまです。企業側がガクチカから知りたいのは、物事の結果ではなく取り組み過程から感じられる、考え方や人柄なのです」
自社の社風にフィットするかどうかを判断するため
また、企業側には「自社の社風にフィットする学生を採用したい」という思いがあります。そのためにも、ガクチカのエピソードを通じて感じられる考え方や人柄を聞きたいのだと、深澤さんは続けます。
深澤さん
「同じ営業職でも、重視する能力は会社によって違います。数字(売り上げ)の達成を第一に考える場合もあれば、お客様に喜ばれることを重視する場合もあります。目の前にいる学生が何を大事と考え、どう動こうとする人なのかが見えてくると、会社とフィットするかどうかがわかるようになっていきます。企業の採用担当者は、ガクチカのエピソードからそうした部分も読み解こうとしています」
ガクチカの書き方のポイントや例文を参考にするときのヒント
ガクチカを通じて、企業側に自分の考え方や人柄を伝えるにはどうすればよいのでしょう。ガクチカの書き方で意識したいポイントを、深澤さんに教えていただきました。
エピソードの結果よりも過程を重視する
まず大切なのは、どのような方法で行ったのかという過程(プロセス)が書かれていること。やったことの結果ではなく過程を話すことで、自分という人間が持つ考え方や重視する価値観などが伝わりやすくなります。
深澤さん
「ガクチカでアピールすべきポイントは、『何をしたか(What)』ではなく、『なぜそうしたのか(Why)』や『どのようにしたか(How)』の部分です。『何を』だけがアピールだと思ってしまうと、『留学をした』『サークルを立ち上げた』『ゼミ長をした』『バイトリーダーをやった』などの華々しさを求めてしまいます。
ではなく、『どういうふうに思っていたか』とか『なぜその行動をとろうとしたのか』など、過程を重視してガクチカを書くと、ぐっと考え方や人柄が伝わりやすくなるはずです」
力を入れたことであれば学業やアルバイト以外でも問題ない
ガクチカと聞くと、学業やサークル活動、ボランティア、アルバイトなどのエピソードを書くことが多いでしょう。それももちろん問題ありませんが、趣味や日常生活での経験など、自分自身が取り組んできたものならば、どんなことでもガクチカになると深澤さんは話します。
深澤さん
「社会人になると、働くことが日常になります。1日8時間という職場内での日常をどう過ごせる人なのかを企業側は知りたいわけです。大学生活4年間の中で1回きりしかやったことのない話をガクチカで話しても、仕事で生かせるかどうか企業側が判断しにくく、アピールになりづらいでしょう。ならば、日常生活での過ごし方を書いたほうが有用といえます。
企画職を目指している人ならば、例えば生活費のやりくりが厳しかったときにどれだけたくさんのアイデアを考えたか、そしてどのような方法で選別し、採用したか伝えたほうが、よほど仕事をする上でのイメージが浮かびやすいと思います。ガクチカを探すには、まず日常を振り返るのがおすすめです」
▼ガクチカの書き方に悩んだら...マイジョブ・カードの例文機能をヒントに!
ガクチカの書き方に悩んだときには、ジョブ・カードの記入例を参考にするのも一つの方法です。当サイトには、記入例が豊富に紹介されています。ユーザーのタイプ(学生・在職者・求職者)、年代、フリーワードなどで絞り込み、自分に合った記入例を検索・閲覧することも可能です。
また、「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」と「キャリア・プランシート(様式1-2)」には例文をコピーして自分に合うように編集し活用できる「例文」機能があります。ぜひ活用してみましょう。
記入例や例文はあくまで書き方の参考として活用しましょう。自分の考えを整理して表現することは就職活動や仕事をするうえで重要視される能力の一つです。
深澤さん
「記入例や例文をそのまま使うのではなく、必ず自分独自の体験やエピソードを加えてください。自分なりのエピソードを加えておかないと面接で答えに詰まり、落ちてしまった……なんてことになりかねません。上手に利用しましょう」
《キャリア・プラン作成補助シート(学生用)、様式1-2 キャリア・プランシート、ジョブ・カード記入例はこちら》
▶キャリア・プラン作成補助シート(学生用) ▶様式1-2 キャリア・プランシート(就業経験のない方、学卒者等用) ▶記入例を見る
ガクチカ探しにジョブ・カードが役立つ!
自分なりのガクチカを見つけるためにジョブ・カードを利用するのもよいと、深澤さんは話します。上手な役立て方を伺いました。
キャリア・プラン作成補助シートで自分の性格・価値観を客観的に把握できる
ジョブ・カードには、自分の興味・関心や強みなどをよく理解し、正しい就職目標を設定するための「キャリア・プラン作成補助シート」が用意されています。このシートは、就職活動で重要な自己分析に役立つと深澤さんは話します。
深澤さん
「自己分析は、ガクチカを見つけるために重要な作業ですが、具体的に何をやったらよいのか、いまいちピンときていない学生が多いのです。ジョブ・カードのキャリア・プラン作成補助シートは、ずらりと並んだ個性や性格のキーワードのなかから自分に当てはまるものを3つ選び、そのキーワードを選んだ理由を過去の出来事をもとに記入するという手法をとっています。キーワードごとに自分の性格を整理しやすく、自己分析がしやすくなります。過去の出来事を記入することで、根拠となるエピソードを補足でき、初めて会う相手にも自分の考え方や人柄を伝えやすくなるというメリットがあります。
また、キャリア・プラン作成補助シートを作成すると、キャリア・プランシート(様式1-2)としてそのまま活用できます。学生が就職活動でジョブ・カードをつくる場合は、まずキャリア・プラン作成補助シートから始めるとよいでしょう」
《キャリア・プラン作成補助シート(学生用)はこちら》
▶キャリア・プラン作成補助シート(学生用)
学生向けの様式が準備されている
キャリア・プラン作成補助シートをはじめ、ジョブ・カードでは学生向けのシートが用意されているため、初めて履歴書を書く学生でも、どこから書けばいいのか、何を書けばいいのかが分かりやすくなっています。アルバイトやインターンシップ経験を含め、今までの職歴を順番に記入することで、経歴が可視化できます。
《様式1-2 キャリア・プランシートはこちら》
▶様式1-2 キャリア・プランシート(就業経験のない方、学卒者等用)
まとめ
ガクチカは就職活動だけでなく、就職後に社会人としてのキャリアを考える上でも有益な体験となります。
深澤さん
「ガクチカを見つけるために、学業もアルバイトも趣味も引っくるめて、やってきたことを整理してジョブ・カードに記録すると、ジョブ・カードが自分という人間のデータベースになります。価値観、考え方、行動特性が集まった、自分だけのデータベースです。すると今後、キャリアに悩んだときや転職を考えたときに、自分のキャリアの方向性を決める助けになるでしょう。就活にも今後のキャリア形成にも、ジョブ・カードを存分に活用してください」
【出演いただいたキャリアコンサルタントのプロフィール】
深澤 絢 様
国家資格キャリアコンサルタント。企業にて18年間にわたり、採用・教育・人事制度構築など経営に直結した人材開発に従事した後、組織人財開発コンサルタントとして独立。現在は企業に対する人材コンサルティングや教育研修講師として社員のキャリア開発に携わるかたわら、これまでの経験から企業がどんな学生を欲しがるか、企業で活躍し続ける社員に共通することは何かを分析し、各種セミナーや大学での講座等で学生にポイントやコツを伝授し続けている。学生面接4万人以上、就職相談2万人以上の実績あり。
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