ジョブ・カードを作ったことが転職成功のカギに!~体験談を紹介~
「ジョブ・カード」は、これまでの学習歴や活動歴、自己PRなどを記入するシートのことで、転職活動で役立てることができます。この記事では、実際にジョブ・カードを作成して転職に成功した会社員のHさんにお話を伺い、ジョブ・カード作成時に気づいたことや、どんな点が役立ったのか、自身の体験を交えて教えてもらいました。
投稿日:2023年8月29日
目次
そもそもジョブ・カードとは?
ジョブ・カードは「生涯を通じたキャリア・プランニング」や「職業能力証明」ができるツールで、厚生労働省が広く普及を進めています。キャリアに関する情報を入力していくシート形式のもので複数の様式が存在します。
シートの項目に従って記入していくことで、これまでの経歴を整理できるので、転職活動に役立てることができます。また、自分のやりたいことや強みを明確に整理できるため、面接等で自分をアピールすることが苦手な方にもおすすめです。
転職時にジョブ・カードを作成したHさんはどんな悩みを持っていた?
2度の転職を経験し、現在は3社目で働いているHさん。
ご自身のキャリアについてどんな悩みを持っていたのでしょうか。
Hさん「新卒入社した会社では有形商材の営業職に就きましたが、お客様に提案できる商品が限られていたり、提案する内容が似通ってしまったりすることが多く、営業としての介在価値があるんだろうか?と悩んでいました。
それをきっかけに、次はWEB関係の営業職に転職し、形があるものにとらわれない無形商材の提案営業が合っているなと実感したんです。ただ、2社目はWEBの広告枠の営業だったので、それ以上の提案ができず、お客様から相談事を受けても解決できないことも多かったので、もっと幅広い提案営業をしたいと、また転職について考えるようになりました。
しかし、転職に向けてこれまでの経歴を整理して応募書類を作成しようとしても、自分が仕事に対して求めていることや、自分の強みをはっきりと言語化できず、魅力的な自己PRがなかなか書けなくて悩んでいました。そんな時に、人材系の仕事をしている家族に転職を考えていることを伝え、職務経歴書の作成が難しいことや、自分の強みをまとめるのに時間がかかることを相談してみたところ、ジョブ・カードを勧められたんです」
書き方の流れと記入内容をチェック!Hさんの作成したジョブ・カードを紹介
Hさんが転職活動をスタートした2022年の冬は、マイジョブ・カードができ、ジョブ・カードがオンラインで作成できるようになったタイミングでした。Hさんはパソコンやスマートフォンを使い、マイジョブ・カード上で作成したそうです。
キャリア・プラン作成補助シート
キャリア・プラン作成補助シートは、キャリア・プランシートを作成する前の準備段階として役立てられるシートです。仕事を選ぶ上でのこだわり(大事にしたい価値観)や、自分の強みと弱み、将来取り組みたい仕事や理想の働き方などを記入し、これまでのキャリアを振り返ることができるだけでなく、これからのキャリアプランを考えるきっかけにもなります。
Hさん「自分のやりたいことを客観的に整理できるという点で、キャリア・プラン作成補助シートがとても役に立ちました。自分の強みや弱みについて整理するのが苦手でしたが、質問に答えていく形式なので自分の考えも整理しやすく、スムーズに記入することができました。特に、大切にしている価値観や強み・弱みの質問は一問一答形式で、感覚的に選択できるので、気づいていなかった自分が働くうえで重視している価値観や強みなどを言語化できました。
スマートフォンとパソコンの両方で作業できるのも便利でしたし、途中まで書いて下書き保存できるので、通勤などの隙間時間でコツコツ作成できるのが良かったですね」
キャリア・プラン作成補助シート【B-1】自分の「強み」と「弱み」 記入例
シートはナビゲーションに沿って入力できるため、自己分析が苦手な人でも作成しやすいことが特徴です。あくまでも補助的なシートなので、必要なければキャリア・プランシートのみの記入でも問題ありません。
キャリア・プランシート(様式1-1)
キャリア・プランシート(様式1-1)には、先ほど紹介したキャリア・プラン作成補助シートの内容を転記することが可能です。Hさんはこの転記機能を使いつつ、自分のキャリアプランについてさらに深掘りしていったのだそうです。
Hさん「ジョブ・カードには、一般的な履歴書や職務経歴書とは違って、今後やってみたい仕事や働き方、これから取り組みたいことといった将来について書く欄があります。
それまでは業界や職種に関してあまり深く考えたことはなかったのですが、ジョブ・カードの記入を進めているうちに、前職までの経験で感じた課題が浮き彫りになっていきました。その課題をもとに将来のなりたい姿を想像し、『マネジメントスキル向上により、部署全体を牽引する人材になりたい』『1部署ではなく1企業としての取引や関係構築をしたい』といった考えがあることに気づき、転職先を検討する軸を見つけられました」
Hさんのキャリア・プランシート(様式1-1)の記入画面
職務経歴シート(様式2)
職務経歴シート(様式2)は、在職期間やこれまで経験してきた職務の内容、職務の中で学んだことなどを記入するシートです。転職活動の際は、職務経歴の証明書として活用できます。
Hさん「新卒で入社した1社目は在籍期間が1年未満と短かったため、『職務の中で学んだこと、得られた知識・技術等』を書くのに苦労しました。もしも就活のタイミングでジョブ・カードを使えていたら、自分の考えをもっと整理できていたはずなので、入社後のミスマッチが起こりにくいのではないかと思いました」
職務経歴シート(様式2)の記入画面
職業能力証明シート(様式3-1、3-2)
職業能力証明シートは、保有している免許や資格を記入するシート(様式3-1)と、学習歴や職業訓練歴を記入するシート(様式3-2)があります。一般的に使われている履歴書と近い内容です。
Hさん「今まで取得した資格や免許を記入しました。今まで履歴書を書くたびに、何年の何月に資格を取ったか思い出すのが大変だったのですが、職業能力証明シートでは、一度入力したデータを保存してくれるので、この機能があれば、すぐに履歴書が完成するのがいいなと感じました。今後のキャリアプランやキャリアパスを考える上でも、定期的に記録しておくのは大事だなと思いました」
職業能力証明シート(様式3-1)の記入例
転職時にジョブ・カードを活用して良かった点とは?
ジョブ・カードを作成すると、データを抽出して履歴書・職務経歴書を自動作成することができます。Hさんは実際にジョブ・カードを作ってみてどんなことを感じたのでしょうか。
Hさん「ジョブ・カードは質問内容が分かりやすく、隙間時間を活用してスマホでも作業できるので、思ったよりも簡単に作成できました。
特に便利さを感じたのは、履歴書・職務経歴書を自動作成でき、さらにExcel形式でダウンロードできるところです。アピールしたい内容が多い項目は記入欄をExcelの行を広げたり、逆に内容が不足している項目は欄ごと削除したりと自分でカスタマイズできるので、自分が納得する出来栄えに調整することができました。
私は転職時に転職エージェントを活用したのですが、面談時にジョブ・カードでつくった職務経歴書を見せたところ、『ここまで内容の濃い職務経歴書をつくれる人はなかなかいない』と驚かれたのが嬉しかったですし、転職活動に向けて自信もつきました」
Hさん「転職した今だからこそ言えるのですが、ジョブ・カードを利用したことで、現在の就業先とのマッチ度が高くなったように感じます。私のように複数社で就業経験がある場合は、職務経歴書の内容に一貫性を持たせることが大事だと思うのですが、ジョブ・カードを活用すれば自分の考えやこれまでのキャリアをきちんと整理できるので、最初から最後までしっかり整合性のある応募書類が作れます。
それ以外にも、ジョブ・カードを作成したことで、今後やりたいことが明確になりました。1つは、営業として自分の領域を超えた商材を取り扱っていきたいということ。もう1つは、個人プレーではなく、周囲に影響を与えたり、マネジメント能力を伸ばしたりしていきたいですね。自分自身を深く知るという意味でも、ジョブ・カードはとても役に立つツールだと感じました」
【まとめ】
今回は、複数の転職経験を持つHさんに、ジョブ・カードを使って転職活動をしたときの実体験を伺いました。ジョブ・カードはただ職務経歴書や履歴書を作るだけでなく、自分の強みなどを明確にしながら、今後どのようなキャリアを歩んでいきたいかを考える「就業中のキャリアパスを考えるツール」としても活用できます。「転職を考えているけれど、どんな業界や業種があっているのかわからない」「自分が働くうえで重要視しているポイントを明確にしたい」と考えている方は、ぜひジョブ・カードを使ってみてはいかがでしょうか?
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ジョブ・カードを作成しよう!
ジョブ・カードを作成することで、自分の強み・弱みや能力に気付くことができ、これまでの経験を踏まえた将来のキャリア・プランとそれに向かってやるべきことが描けるようになります。また、作成したジョブ・カードは就職活動や転職活動でも活用することができるようになります。
マイジョブ・カードのアカウント登録をすると、作成したジョブ・カードを保存し、いつでも修正することができます。
アカウント登録をして定期的にジョブ・カードの見直しや確認を行いましょう。
※アカウント登録後・ログインせずにジョブ・カードを作成した場合、保存するにはダウンロードしたうえ、アカウント登録・ログインしてアップロードする必要があります。
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