就活の自己分析にも役立つジョブ・カードって?学生が実際につくってみた!
インターンシップや就職活動の際は、応募書類に志望動機や自己PRなどを書いて企業に提出します。しかし、いざ書こうと思っても、自己分析が進んでおらず、どのようなことを書けばいいのか悩んでしまう学生も多いのではないでしょうか。そのような自己分析の助けになるのが「ジョブ・カード」です。この記事では、ジョブ・カードの概要やメリットについて触れながら、実際に学生のTさんにジョブ・カードを作成してもらい、作成時の流れや記入例、作成した際に気づいたことを紹介します。
投稿日:2023年6月30日
目次
そもそもジョブ・カードとは?
ジョブ・カードは「生涯を通じたキャリア・プランニング」や「職業能力証明」ができるツールで、厚労省が広く普及を進めています。キャリアに関する情報を入力していくシート形式のもので複数の様式が存在します。
シートにはこれまでの職業経験、学習歴などを書き込めるので、過去の経歴を分かりやすく整理することができ、在職者や求職者だけでなく学生の就職活動やキャリア形成に役立てることができます。
ジョブ・カードを作成するメリット
まだ就労経験のない学生はジョブ・カードを作成する必要はないと考えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。ジョブ・カードは、自分自身のことを理解して、将来どのようなキャリアを目指したいのか、そのためにどうすれば良いのかを考えるためのツールです。項目を埋めていくにつれてそれらが明確になるので、自己分析に役立つだけでなく、実際に面接などで自分の言葉でしっかりと自己アピールできるようになります。もちろん、就職活動の際の応募書類に活用することも可能です。
どんな風に自己分析に役に立つの?ジョブ・カード作成にチャレンジ
ジョブ・カードは、紙だけでなくパソコンやスマートフォンでも作成することが可能です。今回は、実際に大学3年生のTさんに作成してもらい、感想を聞いてみました。まず初めに、Tさんが就職活動やインターンシップでどんな悩みを抱えているのかについてお話を伺いました。
就職活動やインターンシップで抱える悩みは?
国際コミュニケーション学科に所属するTさんは、人と話すことが好きで、現在はカフェの店員やホテルでのベルスタッフとしてアルバイトをしているそうです。学校では海外の文化や政治について学んでいるTさんですが、就職活動に関しては、どのような悩みを抱えているのでしょうか。
Tさん
「就職活動を意識し始めたのは大学2年生の頃で、以前から観光業界に関心があったので、ホテルでアルバイトを始めました。そもそも小さい頃から海外に興味があり、高校1年生の時にカナダに短期ホームステイをし、大学に入ってからも春休みを使ってマルタ島に語学留学をしています。
それ以外にも、実はオーガニックフードも気になっていて、関連会社のインターンシップ制度について調べたのですが、新しい分野の業種ということもあり該当する会社が見つからなかったんです。このように、ホテルや観光業、オーガニックやヴィーガンフードなど、様々なものに興味があるので就活をする業界を絞るべきかどうか悩んでいます」
ステップ①:キャリア・プラン作成補助シート(学生用)の作成
では、そんな悩めるTさんにジョブ・カードを作成してもらいましょう。まずは、キャリア・プラン作成補助シートからです。
キャリア・プラン作成補助シート(学生用)は、キャリアプランを考えやすくするための補助シートで、就業経験がない学生用に自己理解を深めるための項目が設定されています。作成後はそのまま内容をキャリア・プランシート(様式1-2)に転記することができて、その名の通り補助的な役割を果たします。
Tさん
「性格の分析などはやったことがありましたが、『仕事を選ぶ上でのこだわり(大事にしたい価値観)』や『将来取り組みたい仕事や働き方等』といった項目については今まであまり考えたことがありませんでした。このあたりの項目は自由記入だと書きづらいのですが、まず自分に当てはまるものを複数選択してから、それを選んだ理由について詳しく記入する流れになっていたので非常にやりやすかったです。
いつも使っているスマートフォンから全部入力できたので、隙間時間や通学の電車の中などでも下書き保存をこまめにしながら登録できたので意外に時間をかけずに記入できました。
作業を通して自分自身を見つめ直すことになるので、自然と自己分析にもなりますね。選んだ理由を記入するところも例文があったので、どんなことを記入すればいいのか方向性がすぐわかりました」
キャリア・プラン作成補助シートの入力イメージ①(仕事を選ぶうえでのこだわり)
入力に迷ったら、例文や記入例などを参考にしながら作成しましょう!
マイジョブ・カードには例文機能や記入例などの便利な機能があり、入力フォーム上の「例文を活用する」ボタンで例文を参照したり、入力画面の「記入例を見る」から自分に合った記入例を検索できます。検索した記入例はダウンロードすることも可能です。ぜひ活用しましょう。(https://search.job-card.mhlw.go.jp/?temp=p)※例文機能は「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」と「キャリア・プランシート(様式1-2)」限定の機能です。
例文機能と記入例
Tさん
「自分の強みや弱みについては今まで漠然としたものしか考えられなかったのですが、補助シートでは複数の選択肢から当てはまる傾向を選び、言語化することができますね。その結果私は、丁寧で気持ちの良いコミュニケーションができる点が強みである一方、与えられた指示をスピーディに正確に対応したり、人に伝えたりする部分は弱みであるということがわかりました」
キャリア・プラン作成補助シートの入力イメージ②(自分の「強み」と「弱み」)
シートはナビゲーションに沿って入力できるため、自己分析が苦手な人でも作成しやすいことが特徴です。ただし、あくまでも補助的なシートですので、必要なければキャリア・プランシートのみの記入でも問題ありません。
まずは「自己診断一覧」で自分の傾向をチェックしてみるのもおすすめ!
自分が大切にしたい価値観に悩み、何を書くべきか迷ってしまうという人も多いかと思います。そんな人には、ジョブ・カードを記入する前に一度「自己診断一覧 (https://www.job-card.mhlw.go.jp/shindan)」をやってみることをおすすめします。「興味診断」、「スキルチェック」、「価値観診断」といった項目がありますので、何から始めたらいいのかわからない、という人はぜひ活用してみてください。
価値観診断の結果画面例
ステップ②:キャリア・プランシート(様式1-2)の作成
キャリア・プラン作成補助シートの次は、キャリア・プランシート(様式1-2)を作成していきます。キャリア・プランシート(様式1-2)は、キャリアプランを作成するために、興味・関心のあること、自分の強み、将来取り組みたい仕事や働き方などについて記入するシートです。仕事をする上でのこだわりや実現したい働き方を明確にしつつ、必要な能力が何かを理解することで、スムーズなキャリア・プランニングの助けとなります。
キャリア・プランシート(様式1-2)の項目例
Tさん
「いつから自分がヴィーガンフードに興味を持ったかなどは自覚していなかったので、期間を入力する時は少し悩みました。あとは、学校の課程以外で学んだ学習歴についても、大学の春休みで語学留学したことについて書きましたが、高校生のボランティア活動もここに含まれるのか、どこまで書くべきなのか分からず、少し迷ってしまいました。
キャリア・プランシート(様式1-2)の記入例
項目の中には、今まであまり考えたことがなかった就職後のキャリアについての質問などもあって、ここは本当に書くのが難しかったですね。ただ、何を書くのか悩む過程でおぼろげながら自分なりの答えが見つかった気がします。『将来取り組みたい仕事や働き方』や『これから取り組むこと』などは似たような回答になってしまったのですが、重複している部分があるからこそ、これが自分の本当の強みなんだと自覚することができました。
転記機能もあるので、キャリア・プラン作成補助シートの内容をキャリア・プランシートに転記し、それを元にブラッシュアップしていけるのが便利ですね。」
キャリア・プラン作成補助シートの転記機能
ジョブ・カードをつくってみて分かったこと
Tさんが今回作成したのは、キャリア・プラン作成補助シート(学生用)と、キャリア・プランシート(様式1-2)の2種類です。ジョブ・カードの存在は今まで知らなかったと話すTさんですが、実際にジョブ・カードをつくってみて、どのようなことを感じたのでしょうか。
Tさん
「ジョブ・カードは自己分析が必要な項目には選択式の表があったり、自由記入の項目には例文が書かれていたりしたので、どのようなことを記入すればいいのか具体的にイメージが湧いてスムーズに作成できました。私は現時点ではホテル業や観光業、オーガニックフードなど、それぞれ違う業界に興味があって絞りきれていなかったのですが、ジョブ・カードを作成する過程で、自分の芯にあるのが『人と接するのが好き』であると分かり、どの業界でも活かせる強みであると気づくことができました。
記入する内容を考えているうちに、今まではっきりと言語化できていなかった『自分だけでなく、周りの人も幸せにできるような仕事がしたい』という自分の願望にも気付くことができました。ジョブ・カードを使わずになんとなくさらっと自己分析をしていたらここまで深く考えられなかったと思います。自分自身のことだけでなく、はっきりとイメージできていなかった就職後のキャリアについてもある程度考えることができたので、これから本格的に始まる就職活動の方向性が見えてきました。
さらに、今回は日常的に使い慣れているスマートフォンで入力を進められたのでとても使いやすかったです。画面のデザインも見やすく、私のような学生にとっては電車の移動や授業のすきま時間にも活用できるでしょうし、便利だと思いました。ジョブ・カードは厚生労働省が制定しているので安心感もありますし、ぜひ就職活動を始めるみなさんに活用してもらいたいと思います」
【まとめ】
今回は、学生で就職活動に向けて動き出すTさんに、ジョブ・カードの作成体験をしてもらいました。一見、入力する項目が多く見えるかもしれませんが、Tさんのように空いた時間を使ってスマートフォンで入力すれば、時間がなかなか取れないという人でも気軽に作成できます。就職活動において、悩みがちな自己分析にも役立つジョブ・カードを、学生のみなさんもぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
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ジョブ・カードを作成しよう!
ジョブ・カードを作成することで、自分の強み・弱みや能力に気付くことができ、これまでの経験を踏まえた将来のキャリア・プランとそれに向かってやるべきことが描けるようになります。また、作成したジョブ・カードは就職活動や転職活動でも活用することができるようになります。
マイジョブ・カードのアカウント登録をすると、作成したジョブ・カードを保存し、いつでも修正することができます。
アカウント登録をして定期的にジョブ・カードの見直しや確認を行いましょう。
※アカウント登録後・ログインせずにジョブ・カードを作成した場合、保存するにはダウンロードしたうえ、アカウント登録・ログインしてアップロードする必要があります。
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